週休3日サラリーマンのブログ

空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

(チラ裏レビュー) 聲の形 (アニメ映画 2016年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:聲の形 (アニメ映画 2016年)
評価:★3(★★★☆☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D4T68V5B

原作漫画を読んでから、Amazonプライムビデオ(無料)で鑑賞した。結論から言うと、原作漫画のポテンシャルを活かしきれず、ただ作画が綺麗なだけのふわふわした作品になってしまっており非常に残念に思う。

(以下ネタバレあり)

原作漫画「聲の形」のすごいところは、キャラ同士の不和が正面から描かれることだ。大人も子供も、ほとんどのキャラ間に不和やすれ違いが存在する。アニメ映画化にあたってもそこを一番大切にしてほしかったが、本作はそこを正面から描くことから逃げた。原作漫画では目が覚めるような酷いセリフが発せられる場面が何度もあるのだが、本作ではセリフをカットしたり場面自体を改変したりしてそれらを描くことから悉く逃げた。しかも背景はいつも無駄にキラキラ輝いているし、何を描きたいんだという感じ。

監督の山田尚子「この子たちは明日を生きるのも辛そうなくらいすごく悩んでいますよね。でも一歩引いて見た時に、その子たちがいる世界ごとはそんなに絶望感がある訳じゃない。ちゃんと生命は宿っていてお花は咲くし、水も湧くし。彼らがいる世界全てが悩んでいたら嫌だというか、彼らがパッと見上げた空は絶対に綺麗であって欲しいと思ったんです。水だったり空気だったり生命だったり根源的なものは、前向きな感情を持って描きたかったので「ちゃんと綺麗なものとして描こう」と思っていました。あと、見ている方的にも居心地の良い映画でありたいという思いがありました。」

背景を美しく描いた理由について監督の山田尚子の言葉がWikipediaに載っていたが、到底納得できない。背景が無駄にキラキラしている説明にはなっているが、そもそも「(彼らの)絶望感」が描けていないことが問題だ。

川井が高校の教室で石田の過去を勝手に暴露する場面は原作漫画では「石田君はね昔いじめの主犯だったの。西宮さんに暴力ふるって転校させたの…それを黙ってろって今脅してきたの…!本人は更生したつもりでいるけど嘘…!本性は変わってない…!!」「お願いだから記憶を捏造しないで…真実を見て…!」と川井の性根の腐った感じがよく出ていたのだが、本作ではかなり無難なセリフに改変され、石田の反論も原作漫画ではテンパって大声を出していたはずなのに本作では全然。しかも石田が吐き気を催してうなだれて教室を出ていく演技も不自然すぎる。吐き気を催しているならあんなにノロノロ・フラフラ歩かずにダッシュでトイレに向かうはずだ。もっとよく考えてキャラに演技をつけてほしい。

橋の上で全員ケンカするシーンも原作漫画よりも大幅に劣化していた。植野の表情・セリフ・演技すべて迫力ダウン、将也「川井、心の底からあんたを気持ち悪いと思う。もうしゃべらないでくれ」のセリフもカット、前、殴りたいって言ってただろ?やりたきゃやれよ…」と言った将也を真柴が「え、いいの?」と言って嬉しそうな顔で思い切り殴るシーンもなくなってしまっていた。

病院で、硝子の母が将也の母に土下座して詫びるシーンも演出が悪い。あんなに目立つ場所で大勢の前で土下座したら、将也の母は内心どう思っていようと「顔を上げてください」というしかない。申し訳ないという気持ちより謝罪したというという既成事実を作りたいようにみえてしまう。

(硝子の自殺を止めるために将也が身代わりに意識不明となり)植野が硝子に対して激怒する場面は原作漫画では「悲劇のヒロインやるなら自分の尻拭ってからにしろよ!この害悪!(殴る)」「こいつはみんなの気持ちを知りもせず、勝手にそれが一番いいって判断して飛び降りやがったんだ!とんだ思い上がり!この性悪女!(髪の毛を掴んで往復ビンタ)」とすごい剣幕、迫力だった。ところが本作では植野のセリフが無難なものに変更され、演技も声を張り上げてないから全然ダメ。植野の声優の力不足はかなり目立った。キャストをみると結絃役に悠木碧がいるので、悠木碧を植野役にしていい演技をしてもらった方が良かったのではないか。あと、ケンカのシーンは通常のアフレコではなく、声優たちと声のトーンも含めて演技を考えてから作画を合わせたほうがもうちょっとまともになったのでは?しらんけど。

硝子が将也の母の足元にすがりついて「ごめんなさい」と謝るシーンだけは良かった。このシーンだけは原作漫画から改変されて良くなった。

川井が硝子を抱きしめて気持ち悪いセリフを言うシーン「今そんなことしてる場合じゃないでしょ!みんな心配してたんだよ!苦しんでるのはあなただけじゃないんだよ?みんな苦しい!苦しんでるの!それが命なの!でもその命はいちばん大事なんだよ…」これはセリフを少し変えて本作にも使われていたが、原作漫画の解釈とは変わってしまっている。原作漫画では「変わらず気持ち悪い川井さん」を象徴するシーンだったのが、本作では「川井さんの硝子に対する励まし」みたいな良い解釈が与えられてしまっている。どっちが正解かは各自が決めることだが、私は違和感を覚えた。

ラストで将也の意識が回復したとき、将也と硝子の二人ともが運命に導かれるように真夜中の橋に行き、邂逅するシーン。大体原作漫画どおりだったように感じたが、逆にこのシーンは改変して欲しかった。こんなにもロマンチックなシチュエーションなのに抱きしめ合わないことに違和感がある。ここまで来たらもう言葉はいらないと思うし、まして硝子は耳が不自由なんだし、漫画よりも少し肉感的なものを表現できるアニメだからこそ、言葉じゃない方法で感動を伝えて欲しかった。