週休3日サラリーマンのブログ

空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

(チラ裏レビュー) 何者/朝井リョウ (小説 2012年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:何者/朝井リョウ (小説 2012年)
評価:★4(★★★★☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/4101269319

桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ直木賞受賞作、「何者」を読んだ。就職活動をテーマにあの朝井リョウが書いた小説があるってことを今更ながら知って、すぐに文庫版(2015年刊行)を図書館で借りてきて読んだ。

面白かったのだが、私が期待していたものとは少し違っていた。私は就職活動の絶望感を正面から描くような作品を期待していたが、この作品では就職活動そのものの描写が少ないため、本作においては舞台装置にすぎないはずのSNSの方が印象に残り、就職活動の話というよりSNSの話のように見えてしまった。

6人の群像劇なので1人あたりの描写が少なくなるのは仕方ないのだが、少なくとも主人公の拓人だけはもっとページを割いて描写して欲しかった。拓人が瑞月以外の4人に対していつも上から目線で見下すようなことばかり考えているのも、拓人の性格が捻くれているからではなくて就職活動で落とされ続けるという辛い経験を2年間もしているせいだと思うのだが、その描写が少なすぎる。

実は拓人が就活浪人していて5年生だってこともわざわざ途中までわかりにくく書いていて、終盤にその設定が明かされる。以下は、全336ページの物語中、302ページ目に出てくる文章。

>瑞月さんと理香さんは、留学をした一年間があるから、今、五年生だ。バンドに時間と労力を注ぎすぎた光太郎は、三年生の前期の試験結果が出た時点でストレートで卒業できないことが明らかになったから、今、五年生だ。隆良は休学をしていた期間があるから、今、五年生だ。みんな、どんな形であれ、留年をしているから、現在大学五年生であり、就活一年生だ。俺は去年、就活を失敗したから、今、五年生だ。

そういうミステリー・サスペンス要素は要らないから、最初から拓人が就職活動2年目だということを序盤ではっきりと明かして、拓人の焦燥感を物語中でずっと描写してくれたらもっと感情移入してこの作品を楽しめたのに。

文章の読みにくさにもストレスを感じる。

>独り言のようにそうつぶやく瑞月さんの横顔に、赤色のライトが当たった。ピアスの穴が塞がっている。その横顔が少し大人っぽくなったように見える理由は、一年間のアメリカ留学だけではない。

これとか、勿体ぶってないで教えてくれその理由とやらを。こちとら分かんねーんだよそんなオシャレな書き方じゃ。

>まかないで食べたたらこクリームのシーフーとパスタが、胃の中でどんどん消化されていくのが分かる。一歩踏み出すたび、噛み砕いた炭水化物がさらに小さくなって、さほど重要な栄養にもならずに消えていく感覚がする。これじゃきっと寝るまで腹がもたない。麺類ってどうしてこんなに腹持ちが悪いんだろう。

これとか、全く不要な情報をまどろっこしい表現で長々と…読む集中力を削がれるだけなんだけど…。私が小説を読み慣れていないだけ?

【あらすじ (Wikipediaより)】
御山大学演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香。就活はしないと宣言し、就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた22歳の大学生5人は、理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まる。海外ボランティアの経験、サークル活動、手作り名刺などのさまざまなツールを駆使して就活に臨み、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就活に励む。SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする本音や自意識が、それぞれの抱く思いを複雑に交錯し、人間関係は徐々に変化していく。やがて内定をもらった「裏切り者」が現れたとき、これまで抑えられていた妬みや本音が露骨になり、ようやく彼らは自分を見つめ直す。