※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:フェラーリ (映画 2024年)
評価:★5(★★★★★)
リンク:https://www.ferrari-movie.jp
2024年7月5日公開されたばかりの新作映画「フェラーリ」を劇場で鑑賞してきた。
めちゃくちゃ良い映画だった!
この映画は1957年のミッレミリアのレースがクライマックスではあるのだが、メインテーマは人間ドラマだ。「ライバル社が台頭してきている中、経営のためには絶対に負けが許されないレース」「資金難の会社の経営」「一族の存続(跡取り問題)」「冷え切った妻との夫婦関係」「愛人との関係・隠し子の認知問題」5方面で同時並行する複数の難題に主人公(フェラーリの創業者:エンツォ・フェラーリ)が静かに奮闘する。
多くの観客にウケる事を狙うなら、レース一本に軸足を置いたストーリーにすべきだったのだろう。Filmarksでの評価は「テーマが絞りきれていなくてつまらない」「レースの場面が少なくて期待はずれ」という声が多く、評価の星の数は低め。
そもそも現代の若者は車に興味がない上に、こんなに大衆受けを放棄した激渋なドラマ作りだと他人事ながら興行成績が心配になる。実際、平日の午前中の上映回だったこともあるが客入りはかなりまばらで、中〜高年男性が数人と、女性が2人という感じの客席だった。堂本光一を起用したテレビCMも謎すぎた。堂本光一が「フェラーリが大好きなんで」「シビれましたね」と言っているから見に行こう!なんて奴どこにもいないぞ笑。しかも無理して人間ドラマよりもレースシーンばかりをアピールしているからなんか嘘臭さが滲み出ているし、あのCMを見てレースシーンを期待して見に行った人は怒るだろう。
しかしこの映画、万人受けはしないかもしれないが間違いなく凄い映画だった。ビジネスでは社外に敵、社内にも敵、家に帰っても母親・妻・愛人の3人の女に詰められる。この、どっち向いても敵しかいない感じ、エンツォみたいに5方面とまでは行かなくとも、家の外にも中にも敵がいる感じ。この状況を「あるある!」と感じる人には刺さりまくるが、女性や子供には共感しづらいだろうし、大人の男でも順風満帆の人生を歩み続けている人にも分からないだろう。自分はなぜかめっちゃ刺さった(白目)。
以下、雑記。
映画「ゴッドファーザー」を連想するシーンが多かった。教会のシーンとオペラのシーンでカッティング演出があったり、レーシングチームの仲間と小さめのテーブルを囲む食事シーンも似ていた。
エンツォのお母さん(大竹しのぶに似てる)がいいキャラしてた。ファミリーの存続のためには嫁の気持ちなどどうでも良いって考え方の修羅になってる笑。ゴッドファーザーパート3のコニーを連想した。
周りの人がどんどん死んでいく呪い(?)と無口な主人公は映画「ファーストマン」を連想した。
伝記映画なのに1957年の出来事に絞り込んでいる構成がすごい。それでも2時間12分のボリューム。時間軸を描くことを捨てたから、これだけたくさんの並行するテーマを描くことができたと思う。
ミッレミリアのイカれっぷりがやばかった。頭文字Dより遥かにヤバい。いつ事故が起きるかずっとヒヤヒヤしながら映画を見た。あの事故がきっかけでミッレミリアの開催は1957年が最後になってしまったようだが、逆に言うとそれまであまり大きな事故が起きていなかったということ?
【監督】マイケル・マン
【キャスト】
・エンツォ・フェラーリ:アダム・ドライバー
・ラウラ・フェラーリ:ペネロペ・クルス