※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:グッド・ウィル・ハンティング (映画 1997年)
評価:★4(★★★★☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B01MPXFW3A
「ヒューマンドラマ」ジャンルの名作として名高い本作を、自宅で鑑賞した。
(以下ネタバレあり)
本作きっての名シーンと言われるのが、かたくなに心を開かないウィル(演:マット・デイモン)に対してショーン(演:ロビン・ウィリアムズ)が「君は悪くない(It’s not your falut)」と10回近く連呼して、ついにウィルが自分のトラウマを見つめ、過去の自分を許して(?)、号泣して抱き合うシーン。
しかし私はここで感動することができなかった。
ここ以外では結構好きなシーンやセリフが多いのだが、こういう風にトラウマに過剰にフォーカスされると途端に冷めてしまう自分がいる。「これほどまでに典型的な『トラウマ』なんて本当に実際に存在するのか?」「90年代ってトラウマとか心理学とかプロファイリングとか流行ったよな〜…」と。まあ、幸いにも自分がそういう凄惨なトラウマを持っていないからこんなことを言えるのかも知れないけど。
私は心理学に詳しくはないのだけど、ベストセラー本「嫌われる勇気」を読んだだけのアドラー心理学の知識(と、それが正しいという私自身の確信)で僭越にも言わせてもらえば、過去のウィルが里親から虐待をされていた事実はウィルとは関係ない他者の課題、現在のウィルが勇気を持って自分の人生を歩めていないことはウィル自身の課題で、これらは分けて考えなければならない。「君は悪くない(It’s not your falut)」で全て解決するような描写は私には浅はかな演出に見えてしまった。
他にも印象に残ったシーンで感じたことを書いていく。
序盤の酒場で、低学歴の人間を見下してくる嫌味なハーバード大学の男を、圧倒的な教養でウィルがやり込めるシーン:知識に知識でマウントを取るのでは、その男と違いがないじゃないかとモヤった。この頃のウィルがいけすかない奴だという演出だというなら、いいのだけど。
2回目のカウンセリングでショーンがウィルを公園に連れ出して語りかけるシーン(47分頃):君は才能があり知識もある。戦争の話になればシェークスピアを引用するが、戦争で友が息を引き取るのを見た事がないだろう、愛の話をすれば君は愛の詩を暗唱するだろうが、一人の女性を本気で愛し、その女性を病でなくす経験をした事がないだろう。君は知性と自信を備えた大人の男ではなく、ただの生意気な怯えた子供だ。君は孤児だろう?私が「君のなめた苦しみはよく分かる。『オリバー・ツイスト』を読んだから」と言ったらどういう気がする?君から学ぶことは何もない。全て本に書いてある。君自身の話なら喜んで聞こう。→このシーンは大好き。
ウィルがいつもつるんでいる4人組とウィルの彼女となったスカイラーで酒場で一緒に飲んで会話するシーン(68分ごろ):ここでチャッキー(演:ベン・アフレック)がある笑い話をするのだが、4人組の中に1人だけ、とびきり頭の悪い奴がいて、その笑い話の笑いどころが分からない。話している最中、そいつがいらぬ口出しをしてくるのでチャッキーはイライラして「お前は黙ってろ!」と怒鳴りつけたりもするのだが、決して必要以上に侮辱したりバカにしたりしない。他のみんなも、そいつのあまりに的外れな質問に苦笑いしつつもその愛すべきポンコツさを楽しんでいる。→ひょっとしたらこのシーンが一番好きかもしれない。仲間内で笑い話が通じないことの切なさを痛感するのと同時に、チャッキーという男の懐の深さに感動する。チャッキーは、圧倒的に才能があるウィルには「俺たちとつるんでいないで、お前の才能を活かせる世界に進め」と言う一方で、この頭の悪い男を見放したりせず仲間に入れてあげている。
工事現場でチャッキーがウィルに語るシーン(102分頃):「親友だからハッキリ言おう。20年経ってお前がまだおれたちと周りにいて同じような生活をしていたらぶっ殺してやるぞ。俺は50歳になって工事現場で働いていてもいいんだ。でもお前は宝くじの当たり券を持っているのに、金に換えにいくのをビビっているなんてバカじゃねえのか」「お前とつるんでいて楽しいよ。だけどな、おれは毎日、車を降りてお前んちの玄関をノックする時がスリルなんだ。ある日お前は行き先もさよならも言わずにいなくなるじゃないかって。そうなればいい」→このシーンも大好き。
ラストシーン:本作のラストで、ウィルは自身のトラウマと決別して、才能を活かせる立派な会社に就職を決めてエンドかと思ったら、その就職の話を蹴って彼女のスカイラーを追ってロサンゼルスへ行く。→社会的な名声よりも、最良の伴侶を得る方が重要なんだというメッセージを含ませたこのラストシーンも好きだ。