※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:史上最強の哲学入門/飲茶
評価:★4(★★★★☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B01JA1LEZO
【概要(Amazon公式ページより)】
最高の真理を求めた男たちの熱き闘い!ソクラテス・デカルト・ニーチェ・サルトル……さらなる高みを目指し、知を闘わせてきた三十一人の哲学者たちの論が激突。まさに「史上最強」の哲学入門書!
【著者について(Amazon公式ページより)】
飲茶(やむちゃ):北国生まれ。東北大学大学院卒業。哲学や科学など、とっつきにくい学問を楽しくわかりやすく解説した本が大好評。元は普通のサラリーマンであったが、ある日、道を歩いているときに良いビジネスを思いつき、「そんなときどうする? 勝負だ、勝負するに決まってる!」と叫びながら、突然退社して起業。しかし、現実は甘くなく、現在、未曾有の不況に直面して苦戦中。明日はあるか?著書に『哲学的な何か、あと科学とか』『哲学的な何か、あと数学とか』。熱烈なバキファン。著者ブログ:http://blog.yamcha.jp/
以前、この人が書いた「史上最強の哲学入門(東洋編)」を読んで面白かったので、年末のKindleまとめ買いセールで西洋哲学を解説した本作「史上最強の哲学入門」を購入して読んでみた。
この本は、わずか307ページ中で哲学者たちが31人も出て来るので退屈しないのが良いところ。ページ数の都合上、当然それぞれの哲学者についてあまり詳しくは書かれていないが、一連の話の流れの中で次々に新たな哲学者が登場してくるのが面白い。
第一章「真理の『真理』」、第四章「存在の『真理』」は何の役にたつのか今ひとつ価値がわからなかったが、第二章「国家の『真理』」、第三章「神様の『真理』」は面白かった。
第一章:プロタゴラス「絶対的な真理なんてない」、ソクラテス「無知の知」、デカルト「我思う故に我あり」、ヒューム「神も科学も思い込みに過ぎない」、カント「世界のホントウの姿は知り得ません」、ヘーゲル「テーゼ・アンチテーゼ・シンテーゼ」、キルケゴール「個人がそのために死ねるもの、それが真理だ」、サルトル「僕たちの手で人類を真理に導こうじゃないか」、レヴィ=ストロース「真理は一つの方向で進むわけじゃない」、デューイ「便利な考えを真理と呼べばいい」、デリダ「到達できない真理を求めるのは不毛だ」、レヴィナス「私と『他者』との関係を成り立たせているもの」
→哲学者が次々と出てきて「真理」とは何かを語るのだが、それぞれの哲学者がまったく別のテーマの「真理」について語っているのが気になった。真理の定義ひとつ厳密に扱わずして哲学を語っていいのか?「宇宙の始まりの真理」とか「美味しい生姜焼きの真理」というテーマについて議論をするのなら分かるが「○○の真理」という修飾子なしの「真理」って一体なんのことなんだ。
第二章:ホッブズ「国家とは恐怖を利用した安全保障システムである(社会契約説・リヴァイアサン)」、ルソー「国家の主権者は人民である(人民主義)」、アダム・スミス「個人は自分勝手に利益を追求せよ(神の見えざる手)」、マルクス「資本主義は必ず崩壊する経済システムである」
→アダム・スミスの資本主義の話からマルクスの共産主義の話に進むのはやっぱり面白いし、マルクスを「共産主義の妖怪」と紹介するところも好き。
第三章:エピクロス(快楽主義)、イエス・キリスト、ニーチェ「宗教や道徳なんて弱者のルサンチマン(超人思想・神は死んだ・力への意志・僧侶的道徳的価値観 vs. 騎士的貴族的価値観)」
→ユダヤ教・ユダヤ民族の紹介からイエス・キリストの登場、そしてニーチェによるキリスト教批判の流れが面白かった。
第四章:ヘラクレイトス「『存在』は変化する」、パルメニデス「『存在』は不変」、デモクリトス「『存在』は原子でできている」、ニュートン「地上でも天空でも『存在』は同じ法則で動く」、バークリー「『存在』は知覚することである」、フッサール「あらゆる現象はどこからくるのか?」、ハイデガー「『存在』とは人間の中で生じるもの」、ソシュール「世界を区別する」
→これも第一章と同じ感想。前半は科学のできそこない、後半は認識論で、全く別の話じゃないか?
ちなみに、私の中ではこれらの哲学者の中でニーチェがチャンピオン。「道徳なんて弱者のルサンチマン」なんて、よくぞそれを喝破したと感心するし、実際に自分の人生を生きるために役にたつ。他の哲学者は「真理とは何か」「存在とは何か」なんて何の役にも立たないことを延々と語っていたり、現代を生きる我々からしたら偉い哲学者の先生から教えてもらうまでもなく当たり前のことを語っていたりでいまひとつ価値がわからない。