※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:世界は利権で動いている/島田洋一 (本 2025)
評価:★5(★★★★★)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F17MG6L3
尊敬する日本保守党の議員・島田洋一先生の最新の著書が売れているようだ。タイトル「世界は利権で動いている」と帯の文句「騙されてはいけない!美辞麗句の裏に利権あり」には非常に知的好奇心を刺激される。テレビなどのオールドメディアのコメンテーターがやっている表面的な解説やお気持ち表明ではなく、その事件の裏にはどういう利権構造があるのか。私はまさにそういう解説が聞きたかったのだ。Kindle版を購入して読んでみたところ、期待通りの内容で、読後は政治を見る解像度が一段向上したのを感じる。
以下、各章の目次と、簡単な振り返りをやってみる。
【第1章 戦争と「歴史利権」─こう反論せよ】:「社会主義対ナチズム」の裏にある利権構造/中国の「世界反ファシズム戦争」論/ ファシズムと「開発独裁」の相違/比較ファシズム研究の視点から/ イタリアとドイツの相違/「天皇制ファシズム」論の矛盾/日本史学界のファシズム論争/ 通州事件と北朝鮮による日本人拉致/石油利権が引き金を引いた日米戦争/ 「ウォーク」と闘うテッド・クルーズ/共産主義の利権と戦った「B級俳優」大統領/ 「植民地利権」をめぐるフォークランド紛争/レーガン・サッチャー・ローマ法皇包囲網/ ソルジェニーツィン訪米と「デタント利権」
・石油利権の話は、大東亜戦争の時に日本が石油を絶たれて追い込まれた話と、現代のエネルギー政策の話が綺麗に接続して非常に説得力があった。
・レーガン大統領は保守派の偉大な大統領であった。
・フォークランド紛争の話は現代日本の状況と非常に類似している。当時の英国も現代日本も自虐史観教育によって国民が自国への誇りを失っていて、当時の英国は「英国病」と呼ばれる経済不況に陥り、日本は「失われた35年」に苦しんでいる。当時の英国は弱体化した隙をアルゼンチンに突かれフォークランド紛争が発生し、現代日本は弱々しい外交姿勢を中国につけ込まれ尖閣諸島を狙われている。当時の英国はサッチャー首相が強いリーダーシップを発揮してV字回復させたが、現代日本には「サッチャー」が現れてくれるのか?今のところその兆しはなく、非常に不安だ。
【第2章 「独裁者の戦争」と国際利権】:ロシアの領土利権を抑え込んだトランプ外交/ 再エネ利権の偽善性がウクライナ侵略を誘発/「脱炭素」原理主義者バイデン外交の失敗/ 中ロの接近阻止を狙っていた安倍外交の手腕/米・イラン交渉からみえるエネルギー利権/ イラクのクウェート侵攻目的は石油と港湾/ 利権よりも誇りのためにフセイン政権を打倒/イスラエル一貫支持のロバート・ジュニア/ 共和党票田エヴァンジェリカルの宗教利権
・「再エネ利権の偽善性がウクライナ侵略を誘発」の話は特に面白かった。自国でエネルギーを賄うことができない場合、エネルギー供給を受けている国に対して外交カードをひとつ与えることになる。日本のエネルギー政策で言えば、原発の割合を増やすことが大切だ。
・「米・イラン交渉からみえるエネルギー利権」の話は、まさに現在(2025年6月)、イスラエルがイランの核施設を攻撃した事件の背景になっているので興味深かった。この本に書かれた背景情報は以下だ。「オバマ時代にアメリカがイランに対して制裁をゆるめ、第一次トランプ政権でトランプがイランから石油を購入する第三国に対して金融制裁(米国の金融機関に口座を持たせない)を科して制裁を強化したが、バイデン政権で再びその金融制裁を中止する融和策に出た。中国はイラン産石油の輸入を再開し、安い価格で購入できるため中国企業が国際競争上有利になり、そうした中国企業と提携しているアメリカのグローバル企業も恩恵を受ける」
【第3章 「日本」を破壊する利益団体】:財務省・自民党の増税路線で日本経済が低迷/財務官僚の天下り確保が最優先/ 最強官庁の権力の源泉は「税務調査権」/聖域化された自民党税調が実権を掌握/ 外務官僚の出世と省益を優先する外交利権/反核利権団体からカモにされる日本/ 北朝鮮との「利権正常化」を目論む勢力/日本の民主党幹部が北朝鮮宥和政策を推進/ 中国共産党のロビー機関─日中友好議連/利権が集中する国土交通省のトップ争い/ 「対中贈与金」を徴税する太陽光パネル利権/ 質問主意書で質した政府のエネルギー姿勢/米国の軍事利権から抜け出せない日本/ 「人権擁護」イデオロギーに潜んだ難民利権/法務委員会で偽装難民について質問/ 「LGBT」が理由の新たな難民利権/最高裁の浅く危険なトランスジェンダー理解/ 最高裁の判事人事を国会承認制に
・「財務省の税務調査権」:財務省は、税務調査権を使って財務省批判をする政治家に圧力をかける。大した申告漏れでなくても選挙前に情報がメディアに流され悪質な脱税であるかのごとく印象操作することで、財務省は気に入らない政治家を陥れることができる。
・「外交利権」:外務省では新たに国交正常化を達成したりすると省内で評価され出世につながるため、国益や国民生活をないがしろにした外交を生みがちである。
・「国土交通省利権」:工事利権の塊
・「創価学会票」:「いったん頼る習慣がつくと離れられない。多くの自民党議員は『創価学会票を失えば落選しかねない』という恐怖のもとにある
・「太陽光パネル利権」:中国利権
・「米国の軍事利権」:「平和主義」に侵された日本は自国で防衛できないため、米国の兵器を最も高い価格で売られている
【4章「米国」を蝕むディープステート】:トランプの公約は「ディープステート解体」/不法移民利権の「聖域」に斬り込む/ 南部国境地帯に非常事態宣言/難民利権に踏み込む大統領令/ 不法在留外国人の子どもに生得市民権を否定/ 女性スポーツ界を混乱させる「性自認」問題/安易な性転換手術で後悔する子どもたち/ 民間雇用と軍事雇用で異なるLGBT方針/「多様性利権」に本格的メス/ 「国際援助利権」との決別/国連という不公正利権の温床/ 「国際人権利権」への挑戦と決別/「グローバリズム」イデオロギーが生む利権/ 再編必至のビッグ・テック利権/左翼にとって厳しさを増す法廷闘争/ 大統領交代で検察官総入れ替えの司法利権/医薬品業界の製薬利権に規制強化/ ルビオ国務長官に期待される「攻めの外交」/トランプが先導する「再エネ利権」解体/ 利権極左が先導する「黒人の命は大事」運動/反警察運動で被害を受けるのは黒人
・ディープステートの一角、ウォール・ストリート:中国などに金融制裁で圧力をかける場合、ウォール・ストリートにとってはその分の収益力低下を意味するため、米国内からの反対圧力となる。2020年(第一次トランプ政権)の「香港国家安全維持法」、2022年(バイデン政権)の「台湾政策法案」の2回とも、中国への金融制裁は米国内からの反対により見送られた。
・USAID:1961年に民主党のジョン・F・ケネディ政権時に「対外援助法」に基づいて設立された。職員は大部分が民主党員で、資金が流れる先のNGOもおしなべて民主党系だった。
・国連人権理事会(UNHRC):「UNHRCは、厳しい検証を避ける盾として人権蹂躙者たちに使われることに甘んじ、彼らを保護してきた」として2018年、第一次トランプ政権は脱退、その後バイデンが復帰。UNHRCは理事に選ばれた国々に関わる人権問題は取り上げないという不文律があり、中国を筆頭とする人権抑圧国が互いの不当行為をもみ消す談合組織と化している。
・国連教育科学文化機関(ユネスコ):「ユネスコは継続的に反イスラエル感情を露出させており、改革不能なことは明らかである」として2018年、第一次トランプ政権は拠出金支払いを停止、その後バイデンが復帰させたが、今回(第二次トランプ政権)も同様の措置をとるだろう
・国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA):2023年10月のハマスによるイスラエル攻撃に関与
【5章 日本に寄生する「中韓朝」の利権】:敵を見誤らなかったトランプ・安倍コンビ/中国に奉仕する日本学術会議/日本の医療制度にただ乗りする中共の富裕層/中国から政治家に講演料名目の賄
賂?/日韓「慰安婦利権」朝日新聞の責任/拉致問題への悪影響/韓国有志の「慰安婦許欺清算連帯」/「強制連行の嘘」を韓国裁で立証した柳教授/元慰安婦「証言」の矛盾を突いた金柄憲/巨大な危うさを秘めた「中国人慰安婦」問題
・対露戦略:ロシアのウクライナ侵略を非難するのは当然のことだが、習近平を主敵とする立場に立てば、プーチンとの敵対関係を漫然と続けるのではなく、早期に停戦を実現し、中露の離間を戦略的に追求していくのが重要。
・「中国に奉仕する日本学術会議」:「日本学術会議は、第二次世界大戦後、日本が連合国軍総司令部(GHQ)の統治下にあった1949年に設置された。当時のGHQの最大の使命は、日本を二度と戦争のできない国にすること、すなわち安全保障面における日本弱体化であった。このGHQの意向に沿い、日本学術会議は1950年、『戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明(声明)』を発表した。」このような経緯で設立された反国家組織がいまだに健在で、日本の研究機関が軍事研究に関わることを妨害し、日本の国益を害し続けている。
・「日本の医療制度にただ乗りする中共の富裕層」:3ヶ月日本にいれば、高額療養費制度の恩恵にあずかれる。場合によっては数億円の医療が受けられる。中共の富裕層がこれを利用する。
・「従軍慰安婦」問題:韓国のみならず、中国もこれをカードとして日本を攻撃する動きが出始めている