週休3日サラリーマンのブログ

空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

(チラ裏レビュー) Winny (映画 2023年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:Winny (映画 2023年)
評価:★2(★★☆☆☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHB1LV5V

【概要 (Amazon商品ページより)】
2002年、開発者・金子勇東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光三浦貴大)は、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。

Winny事件と並行して進行する愛媛県警の不祥事のエピソードが必要だったのか疑問が残ったが、映画としてはそこそこよくできていると思った。邦画にありがちな叫ぶ演技とかがない、それだけでも上出来だし、監獄から星空を眺めて幼少期を思い出すシーンとかもよかった。東出昌大の演技も良かった。

ただ、当時のWinMXWinnyの流れを見ていた私からすると、作中で「著作権侵害を幇助する意図はなかった」という主張はかなり無理があると感じた。鑑賞後にAmazonのレビューを見ると、やはり同じことを言っている人が多数いて、特にこれがわかりやすかった(以下引用)

(ナイフによる刺殺事件が発生した時、ナイフを作ったものが裁かれるのか?という会話が作中にあったが)
WinMXというナイフはもともとあった。
>→そのナイフで殺人が頻発したため、アメリカでは違法となり逮捕者も出た。
>→それに指紋が残らない機能を付与したのが金子氏、これがWinny
>→Winnyによって殺人が頻発したが、指紋が残らないので犯人を特定できない。
>というのが現実に近い。さらに、金子氏は、P2Pソフトが著作権違反のファイル共有に使われていることを知っていた。言ってみれば金子氏は、ナイフが犯罪に使われることを知っていた。

ただし、だからと言って警察が金子氏を逮捕することが法律上許されるのかっていうとおそらくそれは無理がある。なのでこの映画でも正々堂々とその論点で作られるべきだった。「ノンフィクション」と言っておいて重大な嘘が含まれているので評価は★2(★★☆☆☆)。

Winny事件についてググってみると「Winny事件さえなければ今の日本は変わっていた 42歳で急逝した天才プログラマーの7年半を奪った著作権法という闇(プレジデントオンライン)」という記事が見つかり同様の論評もよく見かける。日本の警察や司法があいまいな理由で逮捕や起訴することは確かに日本のイノベーションを阻害していると思うが、金子氏に関しては過大評価されすぎだと思っている。P2Pファイル交換ソフトWinnyの前身となったWinMXを代表としてすでにあったわけで、それを匿名化しただけのことがそんなにすごいのか?

Winnyを作ったというだけであたかも世界一のプログラマのように持ち上げるのは短絡的。Winnyは金子氏が単独・短期間(1年以内)で開発したが、その程度の規模のソフトウェアを開発する人材はそれほど貴重ではない。一番貴重なソフトウェアエンジニアは、大規模なソフトウェア開発をリードできるITアーキテクトだ。

そもそも、ビジネスにおいては企画や資金調達の方が重要で、コーディングは別に外注でも賄える。社会の課題やニーズを敏感に察知してそれをスムースに解決するような仕組みづくり、プラットフォームづくり、それをできたものがIT業界の覇者になる。今回の場合、「ファイル交換ソフトが無法地帯化して著作権者の権利が侵害されている」というのが社会の課題。「違法に漫画や映画のファイルを交換したいが、身元が割れるのは嫌だ」というのもニーズではあるがそんな犯罪者のニーズにビジネス的価値はない。

ファイル交換ソフトという存在を肯定するためにも、金子氏はむしろ警察や著作権者側のニーズに応えて、違法ファイルのアップローダー(一時放流者)を特定する仕組みをWinnyに組み込むべきだった。現在でも使われ続けているファイル交換ソフトBitTorrent」や、違法に動画がアップロードされることもあるYouTubeは、(運用も含めて)たぶんその辺りができてるから広く使われているのではないか。知らんけど。

ところが金子氏はそれとは真逆のことをやってしまった。極めて破滅的な行動だ。作中では「テロ行為に等しい」と言われて弁護団が憤っていたが、あながち間違った言い方ではないと思う。

作中に「Winnyによって著作権の概念が変わるかもしれない」という言葉もあった。当時は本当にWinny著作権法違反が”蔓延”していて、この流れはもう止められず、これからは著作権法は有名無実化してしまうんじゃないかと感じていた。そんなディストピアっぽい当時の雰囲気を懐かしく思い出すことができたのはよかった。