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空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

セリフで振り返る『進撃の巨人』(1〜8巻)

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アニメ「進撃の巨人・シーズン5(ファイナルシーズン・パート2)」が2022年4月3日深夜の放送回「第87話:人類の夜明け」で最終回を迎え、残すは2023年に放送決定した「シーズン6(ファイナルシーズン・パート3)」のみ。

当方漫画勢。最終回まで読了しているが、ここらで一旦、原作漫画を全巻再読してみる。都合が良いことに、現在アマゾンプライムビデオの特典でシーズン1からシーズン5までが全て解放されているのでアニメ版も並行して全部見る。

本記事では、アニメ「進撃の巨人・シーズン1」に相当する原作漫画・第1巻から第8巻までを、印象深い劇中のセリフで振り返る。
「セリフで振り返る『進撃の巨人』(1〜8巻)」スタート!

■ 第1巻:「なんの成果も!!得られませんでした!!」

死んだ兵士の母親「 何か直接の手柄を立てたわけではなくても!!息子の死は!! 人類の反撃の糧になったのですよね!!?」
キース・シャーディス団長「もちろん…… イヤ…今回の調査で…我々は…今回も…なんの成果も!!得られませんでした!!」
第1話のこの場面が好きだ。進撃の巨人という作品の異質さがいきなり伝わってくる。
自由な個人が「選択をすること」そして「選択の結果の責任を負うこと」は、進撃の巨人の重要なテーマのひとつだ。だから進撃の巨人の主要キャラは、自らの選択の結果起きた不幸な結果を誤魔化さずに正面から受け止める。カッコいい。

フランツ「大丈夫だよハンナ…僕が必ず君を守るから」
ハンナ「フランツ…」
普通の作品なら主人公とヒロインがしゃべりそうなこのセリフ。このセリフをモブキャラのフランツとハンナに与えるところにも進撃の巨人の異質さが表れている。なお、フランツはハンナを守ることができず、あっけなく死亡する…。

■ 第2巻:「戦え!!戦わなければ勝てない…」

エレン「戦え!!戦わなければ勝てない…」
ミカサの両親を殺した犯人との戦闘中にエレンがミカサにかけた言葉。
作中を通して、「自由」に対するエレンの思いは凄まじいものがある。
犯人達はミカサの両親を殺した。「殺人」は他人の「自由」を侵害する究極形だ。
自分たちの自由を侵害する相手に対しては、こちらも手段を選ばず対抗する。まだ幼いエレンだが、この信念は既に確立している。

アルミン「やるのは二人だ…だから…二人が決めてくれ…」
陥落したトロスト区で、アルミンがミカサとコニーに戦い方を提案する場面のセリフ。
助言なのか命令なのか、進撃の巨人の世界ではこれらを明確に区別する。
この場面はもちろん助言。決断するのはミカサとコニー。

■ 第3巻:「我々はこれより奥の壁で死んではならん!!どうかここで…ここで死んでくれ!!」

エレン「できるか できないか オレはどっちでもお前の意見を尊重する」
エレンの巨人化能力を恐れた駐屯兵団がエレンに大砲を向けた時、エレンがアルミンに言ったセリフ。
エレンは「アルミンの決断に乗る」という選択をした。
この選択が不幸な結果に繋がったとしても、それはエレン自身の選択の結果として受け止める。
だから、アルミンは余計な感情を捨てて生き残る戦略を考えることに専念してくれ。
という、進撃の巨人らしいセリフ。

ピクシス「我々はこれより奥の壁で死んではならん!!どうかここで…ここで死んでくれ!!」
ピクシス「失ったのではないぞ。兵は勝手に死んだわけではない。ワシの命により死なせたのじゃ」
トロスト区防衛作戦において、ピクシス司令が言ったセリフ。
普通だったら「戦って、必ず勝利を!」などと言うところだが、ピクシス司令は違う。
「この作戦は高い確率で失敗し、死ぬ」「作戦のために死ぬのを分かっていて兵員を投入した」という責任を正面から受け止めるのがカッコいい。

リコ「 この出来損ないの人間兵器様のために …今回だけで数百人は死んだろうに…コイツを回収してまた似たようなことを繰り返すっての?」
イアン「そうだ…何人死のうと何度だって挑戦すべきだ!」
リコ「そんなの…納得できない。作戦には従うよ…あなたの言っていることは正しいと思う…」
巨人化したエレンが岩を運ぶ作戦を認識できず、ミカサに襲いかかって自滅したときのイアンとリコの「作戦を継続か中止か」議論。
リコは「同意はしないが、作戦に従う」。カッコいい。

ユミル「なぁ…お前…『いいこと』しようとしてるだろ?(イライラ)」
クリスタ「あなたは何で…『いいこと』をするの?」
ユミル「こいつに貸し作って恩に着せるためだ…こいつの馬鹿さには期待できる」
盗み食いして罰を与えられているサシャを助けたクリスタと、それを見たユミルのセリフ。
ユミルは偽善を徹底的に嫌う。厳しいこの世界で生き残るため、誰もが利己的に行動すべきだと考える。
その一方で、とことんお人好しなクリスタの事を大好きという矛盾。実に面白いキャラ。

■ 第4巻:「おい…お前ら…オレは決めたぞ。オレは…オレは…調査兵団になる」

アルミン「どうしてエレンは外の世界に行きたいと思ったの?」
エレン「どうしてだって…?そんなの…決まってんだろ…オレが!!この世に生まれたからだ!!」
エレン「オレ達は皆、生まれた時から自由だ。それを拒む者がどれだけ強くても関係無い」「そのためなら命なんか惜しくない」
トロスト区奪還作戦で巨人化したまま昏睡するエレンにアルミンが刃を突き立てて問いかける場面。
エレンにとっては「生きること=自由」なんだな。

ジャン「なぁ…マルコ。もう…どれがお前の骨だか…わかんなくなったよ…」
ジャン「わかってんだよ。戦わなきゃいけねぇってことぐらい…でも…わかっていても…誰しもお前(エレン)みたいに…強くないんだ…」
回想マルコ「ジャンは…強い人ではないから弱い人の気持ちがよく理解できる。それでいて今何をすべきかが明確にわかるだろ?」
ジャン「今…何を…するべきか…」
ジャン「おい…お前ら…所属兵科は何にするか決めたか?オレは決めたぞ。オレは…オレは…調査兵団になる」
ジャンが自分の使命を見出して決意した瞬間。

■ 第5巻:「よく恐怖に耐えてくれた…君達は勇敢な兵士だ。心より尊敬する」

「この…腰抜け共め…いいから黙って全部オレに投資しろ!!」
法廷でのエレンのセリフ。
うだうだ議論したって不確定要素が多すぎて結論を導けるはずがない。投資(ギャンブル)なんだから、「やるのか、やらないのか」それだけをとっとと決めればいいんだよ!

ジャン「オレはな…誰かに説得されて自分の命を懸けているわけじゃない。こればかりは自分で決めずに務まる仕事じゃねぇよ」
調査兵団を志望する理由を問われたジャンのセリフ。

エルヴィン「もう一度言う…調査兵団に入るためにこの場に残る者は近々殆ど死ぬだろう。自分に聞いてみてくれ。人類のために心臓を捧げることができるのかを」
エルヴィン「よく恐怖に耐えてくれた…君達は勇敢な兵士だ。心より尊敬する」
普通、徴兵の際は楽観的な気分を与えて兵士に志願させるが、エルヴィン団長は調査兵団の生存率の低さを隠す事なく伝えた。
自分は高い確率で死ぬという事実を直視しながらも自らの使命を見出して調査兵団に入団したジャンの心意気には心が震える。涙を流しながらその場に留まり調査兵団への入団を決めたサシャやコニーは周りの雰囲気に流された感が大きいが、それもまた泣かせる。
新兵に対して「心より尊敬する」という言葉を使うエルヴィンにも感動。

ミカサ「…あのチビは調子に乗りすぎた…いつか私が然るべき報いを…」
エレン「…まさかリヴァイ兵長のことを言っているのか?」
リヴァイの事をチビ呼ばわりするミカサ笑

■ 第6巻:「お前は間違ってない。やりたきゃやれ」

リヴァイ「お前は間違ってない。やりたきゃやれ」
リヴァイ「俺にはわかる。コイツは本物の化け物だ。『巨人の力』とは無関係にな。どんなに力で押さえようともどんな檻に閉じ込めようともコイツの意識を服従させることは誰にもできない」
リヴァイ「お前と俺達との判断の相違は経験則に基づくものだ。だがな…そんなもんはアテにしなくていい選べ…自分を信じるか。俺やコイツら調査兵団組織を信じるかだ」
リヴァイ「俺にはわからない。ずっとそうだ…自分の力を信じても…信頼に足る仲間の選択を信じても…結果は誰にもわからなかった…だから…まぁせいぜい…悔いが残らない方を自分で選べ」
巨大樹の森で後ろから女型の巨人が迫り、巨人化して戦うかリヴァイの作戦通りにこのまま逃げるか迷ったエレンに対するリヴァイのセリフ。何が正解か確信がない状態でも選択を繰り返して前に進むしかないんだというリヴァイの諦念に近い信念がカッコいい。「エレンを服従させることは誰にもできない」というのも慧眼。

ハンジ「エレぇン!!その腕触っていいぃぃぃ!?ねぇ!?いいよねぇ!?いいんでしょ!?触るだけだから!!」
ハンジ「すッッげぇ熱いッ!!ねぇ!?エレンは熱くないよ!?その右手の繋ぎ目どうなってんの!?すごい見たい!!」
訓練の休憩中に誤って巨人化してしまったエレンを極度に恐れ、抜刀して警戒するリヴァイ班のグンタ、エルド、オルオ、ペトラを横目にはしゃぐハンジのセリフ笑。いつもと変わらぬハンジの様子にリヴァイ班の面々は調子が狂わされて平静を取り戻した。

エレン「不可能だ。逃げ切るなんて…」
エレン「オレは…なぜこっちを選んだ…!助けられたかもしれない命を…見殺しにしてまで!オレは…そうだ…オレは…欲しかった 。新しい信頼を、あいつらといる時のような心の拠り所を…もうたくさんなんだ。化け物扱いは…仲間外れはもう…だから…仲間を信じることは正しいことだって…そう思いたかっただけなんだ…そっちの方が…都合がいいから」
巨大樹の森で後ろから女型の巨人が迫り、リヴァイには「やりたきゃやれ」、ペトラには「私たちを信じて」と言われ、このまま馬で逃げ切る方を選んだエレン。しかし援護班が背後で殺されていくのを見て直後から後悔を始めるのが痛ましい。

■ 第7巻:「何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう」

ジャン「もう少しぐらい多くの兵に作戦を教えても良かったんじゃないか?」
ジャン「あの(女型の)巨人の存在を知っていたらよ…対応も違ってたはずだ。お前の所の班長達だって…」
アルミン「いや…間違ってないよ」
ジャン「は?何が間違ってないって?兵士がどんだけ余計に死んだと思ってんだ?」
アルミン「結果を知った後で選択をするのは誰でもできる。後で『こうすべきだった』と言うことは簡単だ。でも…選択する前に結果を知ることはできないだろ?」
アルミン「わからないよ!いつだってわからないことだらけだ!でも時間って流れるし止まったりしてくれない!結果がわからないのに選択の時間は必ず来る」
アルミン「団長は選んだ。100人の仲間の命を切り捨てることを選んだ」
アルミン「何かを変えることのできる人間があるとすれば大事なものを捨てることができる人だ。何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう」
エルヴィンの作戦の正しさを議論するジャンとアルミン。「何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう」は進撃の巨人を代表するセリフだ。

エレン「進もう…振り返らずに皆を信じて進めばきっと…それが正解なんだ。オレにもやっとわかった…」
再度巨人化した女型の巨人を圧倒するエルド、オルオ、ペトラを見て安堵するエレン。この直後にまたこの選択を後悔させられるエレン可哀想すぎる。

エレン「オレが…選択を間違えたから…オレが仲間を信じたいと思ったから皆死んだ…オレが最初から自分を信じて戦っていれば…最初からこいつをぶっ殺しておけば!!」
女型の巨人に殺されるエルド、オルオ、ペトラを見て再び揺れるエレンの心。この「仲間を信じた」選択の後悔が、物語終盤、仲間を信じず自分だけを信じて突き進むエレンの行動に繋がる。

エレン「……ア」
女型の巨人の構えを見たときに、それがアニの構えと同じことに気づいたエレン巨人のセリフ。"アニ"の「ア」だと思われる。直後、アニ巨人の必殺の蹴りによりエレン巨人は頭部上半分が吹き飛ばされる。

■ 第8巻:「ひとまずあんたは賭けに勝った…でも、私が賭けたのはここからだから」

アニ「私たちは何と呼ばれるべきかな。他人より自分の利益を優先させ、周りがズルをすれば一緒に流される。こんな人達をあんたはクズ…とか悪と呼んだ」
アニ「実際クズだと思うし悪いヤツに違いないよ。到底正しい人間とは言えないだろうけど…それも普通の人間なんじゃないの?」
アニ「私は…ただそうやって流されるような弱いヤツでも人間だと思われたいだけ…それだけ」
無口なアニが珍しく口を開いた場面のセリフ。ここでアニが言っている「私たち」は、人類のために危険な調査兵団の任に着いた同期を横目に、安全で仕事も楽な憲兵団に入団したヒッチらの事。実際のアニはそいつらよりさらに悪いスパイ行為をしている訳だ。「そいつらがクズだとしたら、私は何になるの??」という気持ちだったのかもしれない。

アニ「あんたさ…私がそんな良い人に見えるの?」
アルミン「良い人か…それは…その言い方は僕はあまり好きじゃないんだ。だってそれって…自分にとって都合の良い人のことをそう呼んでいるだけのような気がするから」
アルミン「だから…アニがこの話に乗ってくれなかったら…アニは僕にとって悪い人になるね…」
進撃の巨人は含蓄のある言葉が多い。

アニ「ひとまずあんたは賭けに勝った…でも、私が賭けたのはここからだから」
ストヘス区で巨人化する直前のアニのセリフ。自分もいつか言ってみたいカッコいいセリフ。

エレン「な…何でお前らは…(アニと)戦えるんだよ」
ミカサ「仕方ないでしょ?世界は残酷なんだから」
ストヘス区でアニが目の前で巨人化するのを目にしても尚、アニと戦う事を躊躇するエレンのセリフ。
終盤のエレンを見ていると、目的のためには手段を選ばない冷酷な男に見えるが、「仲間」に対する思いはミカサやアルミンよりもずっと強い優しい人間でもあるんだよな。

エレン「アニ…お前は…いつも周りがバカに見えて仕方がないって顔してたな…いつも…つまんなそうにしてた。そんなお前が生き生きしている時がある。その格闘術を披露する時だ…父親に強いられたくだらない遊び事だとか言っていたけど、オレにはお前がそう思っているようには見えなかった…お前は…嘘をつくのがヘタな奴だと…オレはそう思っていた…」
エレン「なぁ…アニ…お前…何のために戦ってんだ。どんな大義があって人を殺せた?」
ストヘス区で巨人化してアニ巨人に襲いかかる時のエレンのセリフ。この時はエレンも読者も知る由がないが、アニにも大義があるんだよなぁ…。

ハンジ「この巨人は何ですか?なぜ壁の中に巨人がいるんですか?そして何故あなた方は…黙っていたんですか?」
ハンジ「ふざけるな。これは人類の生存権に関わる重大な罪だ」
ニック司祭は壁の中に巨人がいるという重大な事実を知りながら秘密にしていた。これを知ったハンジは、これまで巨人の謎を探るために死んでいった調査兵団の仲間の事を思い激昂する。しかし、ニック司祭のやり方も人類の最大幸福を追求するひとつの解であり、大義があるんだよなぁ…。