週休3日サラリーマンのブログ

空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

(チラ裏レビュー) 市子 (映画 2023年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:市子 (映画 2023年)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CVVTQHG4
評価:★4(★★★★☆)

2024年4月、Amazonプライムビデオに来ていたのを見つけてスマホとパソコンで鑑賞した。2023年12月に劇場公開されたときにもかなり話題になっていた映画を、半年も待たずして無料で見ることができた。

内容は”市子”の謎がだんだん明らかになっていくミステリー仕立てですぐに引き込まれる。ノイズキャンセリング機能をONにして電車内で見ていたらあやうく電車を乗り過ごしそうになった笑。

(以下ネタバレあり)

ただ、個人的にはミステリー仕立てにしてしまったことで市子の感情へのシンクロ率がだいぶ下がってしまったように思う。この映画のクライマックスはおそらく、市子の母が市子の生い立ちを長谷川に語るところだと思うのだが、あまり気持ちがついていけず長谷川が号泣したのも唐突に感じてしまった。この場面、クロスカッティングで現在の市子・北・冬子の3人のシーンが入るのでそれも気が散ってしまった原因だ。

私は市子の生い立ちからラストまでをもっと市子を主観で見たかった。そしたらもっとずっと心が動かされたと思う。幼少期のバーのシーン、小学校で梢と友達になるシーン、梢の家に遊びに行ってケーキを食べるシーン、梢を家に上げたが母親と小泉により追い出されてしまうシーン、万引きしたのを咎められて梢に怒られるシーン、彼氏が市子の家を不気味がって逃げるシーン、市子が小泉を衝動的に殺してしまい北に手伝ってもらって証拠を隠滅するシーン、市子が月子の呼吸器具を外して殺してしまうも母親に「ありがとうな」と言われてしまうシーン、新聞配達の住み込みでキキに「いつかうちと一緒にケーキ屋やろ」と言われるシーン、市子として生きているのを北に見つかり追い返すシーン、長谷川と出会ったシーン、長谷川との平穏で幸せな生活、長谷川にプロポーズされて泣いてしまうシーン、月子の白骨遺体発見のニュースを見るシーン、長谷川の元から逃げ出して北の元へと行くシーン、冬子と北を殺して新たな人生を歩み出すシーン。あまりに理不尽で可哀想じゃないか。

主人公が置かれた状況は2011年の映画「八日目の蝉」に似ているが、終始主観で描かれる「八日目の蝉」の方が私は心を動かされた。

本作は貧困描写がすごい。市子の家の散らかった感じとか、梢ちゃんが市子の家にくる途中の近所の家の時点ですでに貧困で不気味で…、幼馴染のさつきが刑事に聞き込みをされているときにうるさい子供を怒鳴りつける場面、徳島で市子の母が新しい男と暮らしている家とか痴話喧嘩の様子も異常に解像度が高い。

本作では童謡の「にじ」が重要な役割を担っており、作中で3回(うち2回は同じシーンを映画の冒頭と最後に分割)流れる。歌詞は「雨で気持ちが沈んだけれど、雨があがって気分が晴れる」という内容なのだが、2回のシーンとも人を殺したシーンで鼻歌で歌われる。1回は市子が月子を殺した時に母親が歌い、もう1回は市子が北と冬子を殺して新たな人生を歩み出すときに歌う。しかし希望的な歌詞とは裏腹に、2人とも人を殺した呪いからは逃れられない…。

【概要 (Wikipediaより)】
『市子』(いちこ)は、2023年12月8日に公開された日本映画。主演は杉咲花。原作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した「川辺市⼦のために」。

【ストーリー (Wikipediaより)】
2015年8月。大阪で恋人の長谷川と慎ましくも幸せな日々を送る市子はプロポーズを受けた翌日突如失踪する。訪れた警察は市子という女性は存在しないという。長谷川が市子の行方を追う最中、市子の旧友や知人らから市子の壮絶な半生が明かされていく。

【キャスト】

・川辺市子(月子):演 - 杉咲花
・長谷川義則(市子の恋人):演 - 若葉竜也
・北秀和(市子の高校時代の同級生):演 - 森永悠希
・川辺なつみ(市子の母):演 - 中村ゆり
・小泉雅雄(ソーシャルワーカー。市子の母の元恋人):演 - 渡辺大
後藤修治(刑事。市子を捜索中):演 - 宇野祥平
・北見冬子(失踪した市子と接触していた女性):演 - 石川瑠華
・山本さつき(市子の幼馴染):演 - 大浦千佳
・吉田キキ(一緒に新聞配達のバイト、ケーキ屋の夢):演 - 中田青渚
・田中宗介(市子の最初の恋人):演 - 倉悠貴

【童謡「にじ」の歌詞】
作詞:新沢としひこ 作曲:中川ひろた
①庭のシャベルが 1日濡れて
 雨があがって くしゃみをひとつ
 雲が流れて 光が差して 見上げてみれば
※ラララ
  にじが にじが 空に向かって
  君の 君の 気分も晴れて
  きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気
②洗濯物が 1日濡れて
 風にふかれて くしゃみをひとつ
 雲が流れて 光が差して 見上げてみれば
※くりかえし
③あの子の遠足 1日のびて
 涙乾いて くしゃみをひとつ
 雲が流れて 光が差して 見上げてみれば
※くりかえし×2