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空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

(チラ裏レビュー) あれよ星屑/山田参助 (漫画 2014年〜2018年)(全7巻)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:あれよ星屑山田参助 (漫画 2014年〜2018年)(全7巻)
評価:★5(★★★★★)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B075LGP3TB

【概要(Wikipediaより)】
あれよ星屑』は、山田参助による日本の漫画である。『月刊コミックビーム』(エンターブレイン)にて、2013年9月号から2018年2月号まで連載。
山田参助にとって初となる、一般誌での長編作品で、戦中戦後という暗く重い題材を、作者の持ち味を活かした類稀なる巧みな描写と画面構成、洗練された台詞回しで生き生きと描いている。『焼け跡闇市ブロマンス』を代表に、ブロマンスを主軸としたキャッチコピーが用いられている。2014年12月10日「このマンガがすごい!2015」オトコ編第5位、「フリースタイル」「THE BEST MANGA 2015 このマンガを読め!」にて第3位、第23回手塚治虫文化賞にて新生賞を受賞。第48回日本漫画家協会賞大賞コミック部門受賞。

【あらすじ(Wikipediaより)】
敗戦直後の焼け野原の東京で復員兵である川島徳太郎は、闇市で雑炊屋を営む傍らで酒に溺れる毎日だった。そんな折に軍隊時代の部下である黒田門松と偶然再会する。黒田へ故郷に帰るように勧めるものの、若さに感けて無鉄砲に生きる黒田は川島の変貌ぶりに驚きながらもそのまま居着いてしまう。
酒に浸り死を見つめる男と生に翻弄される男二人、それを取り巻く人々の現在と過去の物語である。

コミックビームのセールで購入した。アート系の雰囲気漫画が多いコミックビームにあって、本作はストーリーがしっかりしていて、戦中戦後の雰囲気もよく取材してあってすぐに引き込まれた。

作者の山田参助は主にエロ系のジャンルで活躍する漫画家さんのようで、本作も日中戦争と敗戦後の日本を描いたシリアスな舞台設定でありながら、かなり露骨なセックス描写がでてくる。しかしそれが、ただ下品なものではなく、むしろ人を生かす原動力や生命讃歌のように感じるのだ。

(以下、ネタバレあり)

Wikipediaのあらすじにある「酒に浸り死を見つめる男」は川島徳太郎、「生に翻弄される男」は黒田門松だ。最終巻で川島は半分自殺のような形で死を選び、黒田はしぶとく生きることを選ぶ。ふたりの運命を分けたのはなんだったのか考えてみると、戦争で犯した”罪”に誠実に向き合い禁欲的な傾向があった川島は死神に追いつかれ、一方戦争で犯した”罪”を自覚しながらも目の前の性衝動に正直だった黒田は生きることを肯定できたのだと感じた。

第1巻に出てくる、パンパンのお姉さんたちが明るくたくましく生きる姿にも感銘を受けた。誰も好き好んで売春をするわけじゃない。彼女たちは生きるために売春をしているのだ。しかし彼女らはそんな理不尽な世の中にたいして一切泣き言を言わず、日々を明るくたくましく生きる。翻って、平和で豊かな現代に生きる我々は、十分に公平で公正な社会に対して文句タラタラ生きている。

第2巻、”八路のスパイ”を杭に括り付けて銃剣で刺突訓練する描写も凄かった。日本人として目を背けたくなるような描写を正面からやっている。しかも、川島はともかく、黒田は割と積極的にこの訓練に参加している。

第3巻、在日朝鮮人のエピソード。敗戦後の日本で朝鮮人ヤクザと日本人ヤクザが対立している。戦時中、特攻隊に志願して「七生報国」の入れ墨までして日本人になろうとした木村(ジャンヒ)は戦後になり同胞の朝鮮人から見下される。日本人にもなりきれず、朝鮮人にも戻れず…見ていて辛い。過去の回想の場面で特攻隊の基地の近くにある木村の上官だった澤村少尉の恋人の静江さんに、澤村少尉を尊敬していた木村が「(澤村さんの名前を入れた)刺青をみせてくれませんか」といって寝る場面、不覚にも美しいと思ってしまった。

第4巻は川島の兄の嫁・梅乃さんを通して「戦時中の嫁」を描く。第5巻はGHQ占領下の日本を描く。敗戦が決まった途端にそれを受け入れて先の戦争を否定する変わり身の早い日本人が多い中、戦前の思想を捨てられない人は不幸な目に遭っている。第6巻は川島と黒田が戦争で亡くなった部隊の仲間の故郷を訪ねる。高(こう)の奥さんは身を売って畑や子供を守っている。根来(ねごろ)は出生前から村で忌み嫌われ孤立していて、むしろ戦地で初めて仲間を得たのかもしれない。第7巻ではふたたび戦時中の回想となり、川島と黒田を残して部隊が全滅したエピソードが描かれる。一番見るのが辛かったのは、日本軍が中国で強姦したり拷問したりするシーンだ。「三人目でやっと吐きましたぜ」と言っている時の黒田の顔が怖すぎる。

作中にはたくさんの歌がでてくるのだが、私はそれらの歌をまったく知らないのでそれにメロディと拍子をつけて頭の中で再生できないのが残念だった。作者の山田参助さんはとても多才な人で、戦前の唄を再現してレコーディングするという活動もしている。何枚かCDでアルバムが発売されているみたいなので聴いてみようかと思っている。