※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:スキップとローファー / 高松美咲 (漫画 2019年)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B081ZG3MVT
評価:★5(★★★★★)
ツイッターで第8話「チクチクの個人練習」の試読が上がっていたのを読んで気に入り、Kindleで購入して読み始めた。
何かチームスポーツの部活をするでもなく、フツーの高校生活を舞台にここまでのドラマを見せられるのはすごい。
そしてこれらのドラマや心理の動きには作り物っぽさが無く、確かに自分の青春時代、こんな事を考えていたなと思い出される。何話かに一回は思わず涙が滲んでくるくらい心が動かされる。
主人公の美津未(みつみ)のルックスは可愛くないという設定だが、キャラデザ的にもちゃんと可愛くないように描いているのもいい。これはなかなかできる事ではない。
キャラデザは可愛くなくても、みつみの性格(公平さ、真面目で一生懸命、相手の事を信じる力)は抜群に可愛くて、読み進めるほどに愛おしく思えてくて、全巻購入決定。
先日、最新刊の第10巻が発売されてさっそく読んだ。(この漫画の舞台として設定された架空の町(鈴市凧島町)は、2024年1月の能登半島沖地震で被災した珠洲市がモデルで、みつみの実家として描いた家が全壊、著者の祖父と祖母が亡くなったそう。お見舞い申し上げます。)
以下、単行本1冊ごとの感想を書く。
【第2巻】
・7話「カツカツのスケジュール」:
手帳に分刻みでスケジュールを立てる高嶺センパイと、「ふとした瞬間にポヤ〜っとしてしまう」みつみのコラボがめちゃかわいい。大好きな話。
・8話「チクチクの個人練習」:
江頭ミカさんとみつみがバレーの練習を通じて仲良くなる話。いろいろ拗らせている江頭さんが、みつみと接する中で角がとれていく。泣けてくるほどいい話。
・11話「チカチカの梅雨明け」:
みつみ「きのう、テスト期間なのにーとかしつこく責めてごめんね。もっともらしいこと言ったけど、ホントは、志摩くんが来ないとつまんないから来てよって言いたかっただけなんだ…」
この言葉、いいなぁ。最強の仲直り言葉。
【第3巻】
・12話「パタパタの生徒会長選挙」:
実はイイ奴だった演劇部・兼近鳴海センパイ(笑)。
・15話「いろいろの夏休み」:
ナオ「おミカ、ちょっとでも泊まってもよかったなって思ってるんだったら、『外食の日勘違いしてた』って今すぐおみつに電話しなさい」
ミカ「や、やだよ今さら恥ずかしい」
ナオ「い〜じゃないの恥ずかしくて!恥ずかしいとこあるくらいがかわいいわよ」
これ、ミカにぴったりのアドバイスだよな〜。
【第5巻】
恋に焦点が当てられた第5巻。
久留米まことは容姿に恵まれていない。そんな女の子が勇気を出して挑む初めてのデートを、リアルな内面描写とともに描く。読むのが辛くなるくらいリアル。みんながみんな超美少女だったら平和だけど、現実はそうじゃないからな…。デートが終わって、超美少女の友達の結月さんに励まされた時、「どうせ自分なんてブスだし…」と自分を卑下する方向に閉じこもらないまことちゃんは偉い。
がんばれ、まことちゃん。
【第6巻】
30・31話「バクバクのバレンタイン」はミカが主役の回。
・迎井「なんかどこ行ってもいるよなぁこういう、カースト下位と見れば秒でバカにするやつ。自分の事なんだと思ってんのかな」
・ミカ「ちょっと好かれたくらいで浮かれてたらイタイから茶化してしゃべっただけじゃん」「ナメられないように努力してんだからこっちは。見た目も、言動も」「そうやってだんだん やな奴になっているなってることくらいわかってんだよ」
そんな、嫌な自分を振り切るように告白に踏み切ったミカ。案の定、ミカの告白は受け入れてもらえないんだけど、勇気を出して挑戦して、失敗して、傷つくミカは美しく愛おしい。
告白が終わって、一拍置いてから号泣するミカを見て、私ももらい泣きした。
【第7巻】
この7巻では、ゆづ(村重結月)の悩みが取り上げられる。
仲良し女子4人組(みつみ、ミカ、まこと、ゆづ)のうち、抜群美人のゆづだけは悩みなんてないんだろうなと考えていたが、相変わらずのリアルな描写で、ゆづの悩みをしっかりと納得させられてしまった。作者さんすごい。
抜群の容姿を持った女子って、男で言えば抜群の財力を持っているようなものだね。
【第8巻】
発売日にKindleで購入して読んだ。
この巻の主役は、主役だけど今までフォーカスされてこなかった志摩くん。完璧超人っぽかった彼だが、自分の心を殺して、周りに合わせて生きてましたって事なのかな。
巻末に「2023年アニメ化決定」のお知らせがあり驚いた。この原作が好きすぎてアニメを見るのが怖いが、もちろん見る予定(見た。漫画ほどではないが良かった)。
「付き合う」とは「お互いに特別認定すること」って、アラフォーなのに知らなかった笑。勉強になります。
【第9巻】
高校2年生の夏。
この漫画の終わりが高校生活までなら、もう半分まできたことになる。生徒会室に高嶺先輩はもうおらず、みつみが生徒会長になって仕切っている。この儚さ、切なさこそ青春!自分なんて、もう20年近く変わり映えのしないサラリーマン生活をしているのに笑。
そして、みつみの実家にみんなで遊びにいくという、すごいアガるエピソードがメイン。とても良い。
ふみちゃんやみつみの妹の、田舎特有の嫉妬心みたいなのも描かれる。リアル。そしてちょこっとだけどナオちゃんと実家との微妙な距離感も描かれる。ほんとリアルだ。
1個前の8巻で、志摩くんとみつみが付き合い始めてすぐに「友達に戻」って、志摩くんがいったいどういう気持ちだったのかいまいちよく分からなかったけど、迎井の分かりやすい説明のおかげでよく分かった笑。ありがとう迎井。
志摩くんは今まで一度も恋をしたことがなかったのか。それなのに何人もの女の子と付き合ったことがあるって…。「自分はトロフィーみたいに扱われている」と8巻で悩みを吐露していたけど、それを知っていても思ってしまう、贅沢者!と笑
【第10巻】
9巻から引き続く、みつみの実家にみんなで遊びにいくイベントが第10巻の前半で終了。志摩くんのみつみに対する恋心が明らかになってきて、この物語が終わりに近づいているのを感じる。江頭さんの失恋とナオの失恋の思い出がシンクロするシーンもとてもエモい。
第10巻の後半は、風上さんと花園先生にも焦点が当てられてびっくりした。どんな人も、社会に見せる面とは別に内面に抱えた思いがあるということを徹底的に描いているこの作品はやっぱりすごい。