週休3日サラリーマンのブログ

空気を読まないサラリーマンをやってます。1980生まれ男です。既婚。2011年生まれ息子、2013年生まれ娘あり。

(チラ裏レビュー)「窓ぎわのトットちゃん」 (映画 2023年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:「窓ぎわのトットちゃん」 (映画 2023年)
リンク:https://tottochan-movie.jp
評価:★5(★★★★★)

2024年2月、劇場で鑑賞した。2023年12月に公開されたので上映する映画館の数が少なくなり始めており、土曜日で小さめのスクリーンだったこともあってか劇場は95%くらいの席が埋まる満員状態だった。

”規格から外れた”子供達に対する小林校長のやさしさや、トットちゃんと泰明(やすあき)ちゃんの友情が主題だが、それに加えてそこに厳しい時代の影が歩み寄ってくる怖さ。それが美しいアニメーションで描かれていて素晴らしい映画だった。

本土空襲が始まり、トットちゃんが電車で田舎に疎開するシーンで本作は終わる。到底ハッピーエンドとはいえないが、この時代で無理やりハッピーエンドの結末を作る方が無理があるので逆に好感が持てたし、私たち観客はトットちゃんこと黒柳徹子が戦後から晩年まで活躍したことを知っているから、そのメタ的な情報まで含めるとハッピーエンドになって非常に味わい深い。泰明ちゃんに「その後、平和な時代が来てね、トットちゃんは女優や司会としてテレビで大活躍して幸せな人生を送ったんだよ」と教えてあげたい。

最近見た別の映画「ゲゲゲの謎(2023)」も同じようなメタ要素を感じさせる作りだった。こちらは水木しげる水木しげるは太平洋戦争でラバウルの激戦区に送られ、片腕を失いながらも生還して戦後の日本で長生きして活躍した。そういえば黒柳徹子水木しげるADHDと言う点で共通している。

満を持してアニメ化された「トットちゃん」を、徹子本人が鑑賞し、その感想をYouTubeで見られるのもよい。徹子が「涙が出て、終わりの方で止まらなくなった」と言っているのを聞くだけで感無量だ。「ゲゲゲの謎」も水木先生に見てもらいたかったと思う。トットちゃんは本人が書いた原作だが、「ゲゲゲの謎」は本人以外が脚本を書いていて、ゲゲゲ/墓場の鬼太郎、戦争体験、戦後日本へのアンチテーゼを全て盛り込んだ”水木しげる総集編”みたいな映画になっているので、なおさら水木しげるの感想が聞きたかった…。

トットちゃん」の監督は八鍬新之介さん。映画ドラえもんの製作をしてきたクリエーターで、監督としては「新・日本誕生」「新・大魔境」「月面探査記」の3本を手がけている。私は映画ドラえもんを1980年の第1作「のび太の恐竜」から2023年の「空の理想郷(ユートピア)」まで全て見たが、この3本はかなり良作の部類で特に「月面探査記」はF先生没後の作品ではナンバーワンだと思っている。実力派の監督だ。Wikipediaによると、2019年の「月面探査記」の次の八鍬監督作品がこの「トットちゃん」だ。

トットちゃん」はジブリのように絵がとてもよく動き、アニメーションの品質が素晴らしい。トットちゃんのADHDっぽい落ち着きのない動きがすごくよく表現されていたし、泰明ちゃんと木登りするシーンはハラハラした…!

演出やストーリーテリングが控えめで余白を残しているところも上質だと思った。
・大人が泣くシーンでは正面から顔を映すのではなくてすりガラス越しだったり身体の震えだったり、いろんな角度から演技を控えめに見せてくれる
・冒頭のアバンパートでトットちゃんが少しだけ通って退学させられる”普通の小学校”のことを正面から”悪い小学校”とは断言しないところ
・途中で出てくるいじめっ子の身なりが汚くて貧しい事がわかる。一方でトモエ学園は”規格外の子ども”が通っている学校ではあるけれどもみんな綺麗な身なりをしていて立派な家に住んでいる。そういう含みが多分にあるがそれをあえて全てセリフなどで語ることはしない
…などなど。

私の印象に一番残っているのは、日本が軍国主義に染まっていく表現。銀座で「ぜいたくを止めましょう」とデモをする人たちが紙芝居みたいな動きだったり、最後の方で泰明ちゃんがなくなってトットちゃんが街中を駆けるときも、戦争に熱狂する街の人たちはあえて不自然な動きの3Dモデルになっていて、トットちゃんはその中を逆方向にひたすら駆けていく。これには心を動かされた!

原作は言わずと知れた映画と同名の小説だが、Wikipediaを見ると、想像以上にすごかった笑。私は未読なので、これを機会に読まなければ!

>世界35ヶ国で翻訳され、1985年に、ポーランド文学賞ヤヌシュ・コルチャック賞」を受賞。中華人民共和国では、2017年5月に累計発行部数が1000万部を突破している。2023年10月時点で全世界累計発行部数は2500万部を突破している。2023年12月14日には同年9月末時点での全世界累計発行部数2511万3862部を記録対象とし、「最も多く発行された単一著者による自叙伝」としてギネス世界記録の認定を受けた。